【現役消防士が法人設立】(一社)予防団 代表理事 宮谷 英穂さん
「消防設備士100人インタビュー」の第2回は、現役消防士にして一般社団法人 予防団の代表理事・宮谷英穂さん。
消防局での 消火隊・予防課・火災調査・通信指令のキャリアを歩みつつ、消防設備士資格をほぼコンプリート!
出会いのきっかけ、資格取得の理由、雑居ビル火災と違反是正の現実、そして “街ぐるみの予防” を目指す「予防団」の活動までをお伺いしました。
対談スタート!資格ほぼコンプ!?
青木:
防災の青木と—
宮谷:
予防団の宮谷です。
青木:
よろしくお願いします。
宮谷:
よろしくお願いします。
青木:
消防設備士と現役消防士。消防設備士の資格も——え、全部ですか?
宮谷:
1個だけ取れてないんです。
…おつなな…(乙種7類)
青木:
あ、おつなな!そうなんですね。取れてないっていうか、取ってないみたいなことっすね。
宮谷:
ちょっと置いてるって感じ。
青木:
現役消防士さんっていう肩書きが強いけども、実際は消防設備士もほぼほぼコンプなんで。
だからあなた(スタッフ)乙6落ちてる場合じゃないですよと(笑)
宮谷:
そういう話です(笑)
消防設備士取るきっかけになったのも、青木さんと出会ったところもありますし、消防設備士の方とコミュニケーション取れたからこそ、もっと先を見たいなっていうのもあるんで。
そういった話もできたらなと——
青木:
お願いします。ぜひぜひ深掘りさせてください。
出身と進路
現役消防士になるまで
のっち(スタッフ):
出身はどちらなんですか。
宮谷:
大阪です。
のっち:
消防士さんを目指そうと思ったきっかけって?
宮谷:
大学の、就活しなあかんなって思った時ぐらいなんです。
志高い方々たくさんいてはるんですけど、僕はそこまでの志ないまま、体動かす仕事したいっていうところと、救助隊の救助大会に出て活躍したいなっていうのがあって、消防士になりたいな、と。
のっち:
大学入る時も、漠然とした理由で大学も入ったってことですか。
宮谷:
バスケやるために大学入ったんですけど、大学バスケがちょっと嫌になってやめたんです。
で、新たな大学、大阪体育大学入ったんですけど、体育の先生になりたかった。
…けど、遊びすぎて(苦笑)
結果、先生って結構しんどいなと思って。
それやったら体動かせる仕事につこうってことで消防士を目指した、っていうところです。
青木との出会いと再会
宮谷:
流れ的には先に消防検査があって、とんでもない物件やったんです。中身はあんま言えないんですけど。
それを青木さんと共に解決した的な…勝手にちょっと仲間意識がその時生まれて。
その検査が無事終わって、バスケ繋がりの共通の知人がおって。
一度、青木さんからその知人を通して僕に連絡取りたいっていうありがたい話をいただいたんです。
でもその時の僕の心境としては、消防に染まってるというか、勝手に消防設備士の人と仲良くしたらあかんのちゃうんかなって思い込みがあって。
1回お断りさせてもらったんですよね。「設備の方とプライベート連絡取り合うと公務に支障出るかもなので、一旦すいません」と。
…で、その後たまたまバスケットボールの試合会場で青木さんと出会ったんです。
対戦相手で、マッチアップするっていう。
青木:
はいはいはいはい。
宮谷:
前半は何も知らずにバスケット。
後半始まった時に
!?
「あ、あれ?あれあの時の青木さんや」
ってなって、そこから喋り出して。
その頃、僕の中でも心境の変化があって——
消防士が窓口で消防設備士と仕事やってても、結局消防設備業のことが全く分からないまま指導してるので、むちゃくちゃ負担かけてるな、と。
僕ら消防も”図面を見て、ここからここに動かしてね”と言うことしか多分言えてなかった。
もっと中身を知らなあかん、と思ってた時だったんです。
青木:
うんうん。
宮谷:
そんな時に青木さんと運命的な出会い、バスケで再会することになって。
じゃあ1回ちょっとバスケ行きましょうかと。
バスケ行きつつ、ご飯も行ったりするようになって。そこでこれからの消防署/消防設備士の在り方って、こうあった方がいいよね、みたいな。意気投合して、ですよね。
青木:
何回もお話しして、仲良くさせてもらって。
日本初の“現役消防士×消防設備士”の法人ができて、予防団といったところです。
キャリア詳細
のっち:
大阪体育大学を経て、今の消防士になるまでのキャリアを教えていただけますか。
宮谷:
消防学校入って半年間しごかれた後に現場へ。
最初は消火隊(火を消す部署)にいくことに。
ずっと特急隊になりたかったんで、「いつか、特急隊行くぞ」と思いながら訓練。
3年くらい働いた後に「予防課に行け」と言われて。
「予防課どこやろ、どんなところ?」ぐらいの知識で行かされたんです。
学生時代からずっとスポーツしかやってなかったので、勉強むちゃくちゃ苦手で。
予防課の人たちって分厚い消防六法/実務六法をめくりまくって、ずっと勉強してるイメージ。
…そういうところにいきなり行くことになって、「やっていけるんかな」と。
青木:
うんうん。
宮谷:
でも今考えたら、消防人生のターニングポイントはそこでした。
“勉強したことない人生”から“勉強する人生”にガラっと変わって。今は比較的勉強が好きな方に。
そこから予防課を出て消防隊に戻ったり。
今は火災調査業務(出火原因を調べる専門部署)に配属。
さらに119番を受信する通信司令の仕事も兼務しています。
内訳としては、消火隊が5年、予防課が7年、火災調査が今3年目。119番は兼務で3年目というところです。
なぜ資格を取るのか
宮谷:
最初に資格取り始めた理由は、60歳になった時、「消防士っていうキャリアを抜いたら何が残る?」と考えたら、何も残らんと思ったから。
消防やめたいとか全くないんですけど、自分にも何かキャリアをつけたい。だから資格取りたい。
予防業務で関わっていた消防設備士を取ろう、ということで1個ずつ。
試験受かったらすごい嬉しい。スモールステップアップみたいに、最初乙6から受けて合格。
「嬉しい」「じゃ次甲4行こうか」って、ちょっとずつステップアップできたのは嬉しかったですね。
のっち:
現役の消防士さんで消防設備士資格を取る人って、なかなか少ないのかなって思うんですけど、実際どうですか。
宮谷:
感覚ですけど、最近は増えてきてるんじゃないかなと。
10年前とかはほとんどいなかった。
青木さんの発信とかで予防業務がピックアップされてきたってのもあるし、スキルアップで消防設備士試験を受ける方は増えてると思います。
青木:
きっかけは“60歳より先のキャリア”を考えた時に、って話でしたよね。
人生100年時代とか老後2000万円問題もあって、この先のビジョンを考える人が増えたのが取得理由になってる気がします。
宮谷:
60歳超えたら再任用制度も伸びてきてるけど、セカンドキャリア考えて消防設備士取る方は増えてるかもしれないですね。
青木:
消防署って大企業に近い感じだと思うんです。日本全国にあるし、公務員で安定。
でも大企業病に近いところもある。
「安定=絶対安全」じゃない時代で、違和感持つ人も出てきてると思います。
雑居ビル火災と“違反是正”の現実
青木:
雑居ビル火災全般について、現役消防の宮谷さんにもお伺いできればと。
宮谷:
今は大阪消防局で出火原因の調査や事故調査委員会が動いてるので、中身の答えが出るまで僕から言えることは正直ないです。
ただ、同じような雑居ビルはたくさんある。そこについての話を深掘っていけたら。
のっち:
前に大阪ミナミで外観から勝手に“消防検査”みたいなのやりましたよね。
「さすがにまずいんじゃないの」みたいな建物もあった。
実際、違反処理が進んでるものや、大阪での申告度はどのくらいか、現役目線で教えていただけますか?
宮谷:
どう思いますか?自分も正式なデータ持ってるわけじゃないんで、あくまで肌感なんですけど——
のっち:
2棟に1棟ぐらいかな。50%とか。
宮谷(少し驚き):
ちょっと予想と違う答えだったんですが(笑)
違反の大小はあるんですけど、ほとんどのビルで「こういう違反は絶対あるよな」って思ってます。
市民の方は「消防が全部きれいにしてくれてる」と思ってるかもしれないけど、実際は立入検査に行って違反6個見つけました、ってなっても、すぐ改善されると思いますか?
のっち:
放置されていると思いますね。
宮谷:
なるほど…(正解されちゃった…)
青木:
調教済みなので(笑)
宮谷:
実務だと、まずは「いつまでに直してください」=行政の“お願いの指導”からスタート。
重大な違反(例:階段に物がいっぱい)なら即是正させることもできるけど、例えば「消防訓練できてません」「設備点検はしてるが不備が残ってる」みたいなものは猶予期間を設ける。
例えば3ヶ月の猶予→再検査→直ってなければより厳しいお願い→また期間→…で、ようやく行政処分に行ける段取り。
この間に3ヶ月+3ヶ月+3ヶ月=9ヶ月。
むちゃくちゃ長いじゃないですか。
最近多いのが、雑居ビルの転売。
外国の方が買ってまた外国の方に売ることもあって、所有者が変わると“0から”になっちゃう。
心志高い人は今回の件を踏まえてどんどん指導して改善させたい思いはあるけど、消防法の枠や刑事罰までのプロセスで時間がかかる。
モヤモヤしてる人は多いと思います。
予防団の取り組み
街ぐるみの予防=防災散歩
宮谷:
繁華街などの外では予防団としてチャレンジしてます。
商店街が密集する地域で、商店街組合と連携し、店舗さんに食べ歩きに行こうと。
地域活性の目的で食べ歩きながら、防災要素をみんなでチェック。
これが「防災散歩」。
「ここで火事が起きたら逃げ場ない」「じゃあ早く見つけて早く消さなあかん」と体感で意識してもらう。
最後に消防訓練してくれたところには予防団ステッカー。
「このビルはしっかり消防訓練してるところですよ」と街ぐるみで可視化する。
こういったことがいろんな地域で広がれば、雑居ビルの防災意識も少しずつ上がっていくと思ってます。
イベント登壇と告知
青木:
消防設備士サミット2025で、僕第4セッション担当なんですけど、現役消防士の立場で宮谷さんにも登壇してもらいます。
ONE LOVE渡辺さん/レスキューハウスのタイチョー/消防系行政書士の山口先生の4人に登壇してもらって、僕がいろいろお話を伺う場。ぜひお楽しみに。
今回は「消防設備士100人対談」2回目。現役消防士で一般社団法人 予防団の代表、宮谷さんに来てもらいました。
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宮谷:
予防団仲間、大募集してまして。
本当に志熱い、でもどうしたらいいか分からないっていう方々には、ぜひ来てほしいなと思っております。
青木:
以上、防災屋の青木と——
宮谷:
予防団の宮谷でした。
本編はこちら
対談の全てを聞きたい方は、ぜひ動画本編をご覧ください。












