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強欲な対談No.4「消防士と消防設備士が消防署でバトル!?」

タイホ防災(株) 山下 泰助さん

消防設備士100人インタビュー、第4回のゲストは タイホ防災・山下社長。

そして一緒に座るのは、10年前、山下さんをガッツリ指導していた当時の予防担当、今は一般社団法人・予防団として活動する 現役消防士・宮谷さん。

「正直、当時は“あいつ”やと思ってた」「まずはあの節は本当にすみませんでした」── 消防設備士と消防署の“ガチで揉めた過去”からスタートし、そこから見えてきた、これからの消防検査のあり方、消防設備士と消防士の本当の関係性をほぼそのままの言葉でお届けします。

 

 

オープニング──たいちゃん&みやちゃん登場

青木:

防災の青木です。 今回は消防設備士100人インタビュー、4人目のゲスト。 タイホ防災・山下社長です。

 

山下:

山下です。

 

青木:

はい、皆さんね、「たいちゃん」でお馴染みなんで、今日はちょっとたいちゃんで呼ばせてもらって。

 

山下:

たいちゃんです! よろしくお願いします。

 

青木:

はい。たいちゃん。ちょっと偉い人なんで。

 

山下:

いや、偉くないです。

 

青木:

で、今日は たいちゃん と、みやちゃん。

宮谷:

予防団の宮谷です。

 

青木:

みやちゃんは現役消防士です。

で、「なんで今日この たいちゃん & みやちゃん の組み合わせなん?」って話なんですけど。

窓口でみやちゃんが予防係のときに…たいちゃんってちょっとポップすぎるんですけど(笑)山下社長が届出を出しにいった時に、アップデート前のみやちゃんだったと。

ありがちなんですけど、消防士さんと消防設備業者が…ガチャガチャっていうのが割とハードめにあったと。

消防設備士が実務する上で窓口で届出を出すときにコミュニケーションをとるというのはあることなので。

そのときの話をお伺いして、消防士さんと消防設備士の関係性ってどうあるべきなのか掘っていけたらと思います。

実際の出来事──10年前の“ガチバトル”自動火報・総合盤・受信機の位置

山下:

あれ、何年前ぐらいでしたっけ?だいぶ前ですよね。

 

宮谷:

約10年前。

 

山下:

今、業界入って31年目ぐらいなんですけど、その10年ぐらい前。

まだ社長になってなくて、各消防署に事前協議をしてから、届け出を作って工事して、設置して出して…って、いつもの流れ。工事進行して、終わりの段階で、当時その消防署にいたのが みやちゃん。

皆さんも経験あると思うんですけど、僕の思いと設備担当の方の思いにギャップが生まれることってあるじゃないですか。その時は、僕からすると ちょっとひどくて。指導の仕方が。 3階建てのマンションで、自動火報設備を付けるにあたっていつも通りシリーズ化されてるんで、どこの現場行っても大体同じような設備を付けていく。 で、工事も終わりかけの段階で、みやちゃんから

「それはダメですよ」 ってなった。

 

覚えてるのが、総合盤の位置がダメやって。

廊下の共用部に付けてるんですけど、赤いランプが見えてる状態。

横の住民の方のドアが開いた瞬間に、1秒・2秒隠れるじゃないですか、ドアで。

「いや、消えたらダメなんで」みたいな。

「いやいや、開けた時だけやし、いいじゃないですか」みたいな。

そこをね、ちょっとお怒り気味というか、偉そうな顔してるんですよ。

 

それからさらに、1階に火災受信機がついてるんですけど、それも共用部の階段下につけたんですよ。

高さも全然問題ないし、なんなら 一番見えやすいと思って。

そこも「ここもダメですよ。もうちょっと見えるところに」みたいな。

僕それ、めちゃくちゃ怒られて。現場で。

 

青木:

やり変えたんですか?

 

山下:

それやり変えました。 穴開いてるし、器具ついてるから、建築さんとかには分かってもらえないですよ。

ちゃんと直した後も、他にも細かいこといろいろあったと思うんですけど、イメージが悪すぎて。

「ほんま、やばいわあいつ」みたいな。 “あいつ”ですよ、ほんとに。 僕にしてみたら、もう“あいつ”。

 

そこから10年後に消防設備士サミットで会うことになって。 急に思い出したというか、あの時の記憶がバーッと蘇って。 僕がみやちゃんに言ったんよね。「あれ覚えてます?」みたいな。

 

宮谷:

……はい(苦笑)

 

山下:

そしたらみやちゃんが、 「その時の僕は…もう今は違うんです。ごめんなさい」みたいな話があって。

今日はその心境の変化を改めて聞きたいなと。

 

 

みやちゃんの意見

宮谷:

まずはあの節は、本当にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。

もう、めちゃくちゃ…はい。

僕としても、これはちゃんとお話しさせていただいて、謝りたいなと思っていたところでした。

 

予防担当者時代の話を少しさせてもらうと、「組織のルール」が予防の全て、「組織のルール」が消防設備業界の全て、みたいに思ってたところが正直ありました。

僕自身も消防設備業界の方々の工事内容って正直わかっていなくて、今になって工事を体験して、ましてや受信機は配線が集中している場所なので、これを動かすことが大変というところにやっと理解が至ったところなんですが、予防担当者時代はそこに対してあまり気づけてなく、社会経験がないというところがあって本来は火災予防上良い場所に設置するっていうところが、それを消防設備士の方と協議していくのが本来の形だと思うんですが、届出を間違い探しするだけがその時の業務になってしまっていました。

 

山下:

あら探し屋みたいになってましたね

 

青木:

山下社長、結果として、変えたんですか? 僕やったら多分変えないですね。

 

山下:

僕が一人で仕事してたら、もしかしたら押し通してたかもしれないですけど、やっぱり組織の中にいて、一応長なんで。 そう考えた時に、 「すいません…ちょっと消防士さんがこんなこと言うてて。僕も意味わからんし腹立つんですけど、どうしようもないんで、ちょっとずらさせてください」 って、謝った記憶が。

かと言って「はいはい、すいません、すぐやります」っていうのも何か違う気がして。 その間ぐらいで戦ったけど、最終的にはもう仕方なくて……という感じでしたね。

 

 

消防設備士と消防署──本当はどう付き合うべきか

青木:

僕も10年前とかだったら全然分かってなかったんですけど、今聞いてて気になったのが 2つあって。

1つは、「許可を得る」っていう話じゃないと思うんですよ。

どう落としどころを作るかっていう話。 もう1つは、消防側が現場をどこまで見て、どう判断するかっていう話。

 

宮谷:

そうですね。

僕個人的に思うのは、予防担当者のスキルアップももちろんなんですけど、「消防設備士の方/建設業の方がどういう仕事をしているのかを知ること」「現地を見に行って判断すること」

この2つができる体制を作るのが大事かなと。

法令で言うと、受信機の位置って「防災センター等に設けること」くらいなんで、ちょっと扉から見えなかろうが、見える場所にあろうが、法令的には問題ないはずなんですよね。

ただ、消防側が引っかかってるのって、「届け出た位置から変わってる」ところ。

そこに対して、何か理由付けが欲しい。

だから、現地を一緒に見に行って、「ここにしか付けられへん状況やな」って分かると、消防側も納得できると思いますし。

 

青木:

うんうん。 例えば他の電気屋さんとかお客さんが、「ここに棚置きたいから、ちょっとこっち寄せて」っていう現場合わせとか着工届け出してからも全然ある。

 

山下:

その過程の中で一言「ちょっと場所変わります」みたいなのがあるだけで、僕らとしてはすごい助かるな、というのはありますね。
白だと思っていても、消防側が「黒寄りのグレー」と言う時もあって、消防士はこう思ってるけど消防設備士はこう思っているみたいな。 分かち合うコミュニケーションの場って今までなかったと思っていて。

山下:

僕も、消防で聞いたことが、消防設備業界の全て、そんな感覚になってしまっていたのが現状です。

 

青木:

うんうん。統一感があれば本当はいいのかなとは思いますね。

 

 

法令とコミュニケーションは別物。結論はやっぱり「話すしかない」

青木:

あとは、その法令の話とコミュニケーションって、また違うと思うんで。

全般として何を解決したらいいかっていうと、やっぱり「消防士さんと消防設備士がコミュニケーション取る」もう結論そこですね。

山下:

今そこに青木さんを筆頭に動いてるじゃないですか。

それはもう素晴らしいことなんじゃないですか。

これを見てる方が「あ、そうやねん」って思う人がもしおったら、みやちゃんみたいになっていくべきじゃないですかね。

 

宮谷:

いや、本当に。

僕をしくじり先生みたいな形で見ていただいて、同じようなことはしないでほしいなと心から思います。

 

 

山下社長の本音

山下:

使用開始届を持って消防検査の日にちを決めて、検査が来るじゃないですか。

消防さんによっては「使用開始できる状況」なので、もしこの状況がちゃんとできていなかった場合は検査しませんと言われることもあります。

でも実際には検査してくれるんですけど、逆に僕はそれなら帰ってほしいぐらい。

僕としては建築業界も変えていきたいので、「仕上げておかないとダメですよ、消防が帰ります」と言ってます。

でも、やっぱり帰らない。

消防士さんも人の心があるんで、検査受けてくれるんですけど。

 

クロスが貼れていない状態での検査問題

山下:

当時は、僕らの業界って、クロス貼ってないところに感知器付ける場合とか、たまにあって。

「検査優先」みたいなんで。

現地行ったら、感知器だけついてるけど、後でまたクロス貼ったりする部屋がどうしても残ってしまったり。

で、結局「すいません」って消防に謝って。

消防さん優しい人は優しいんで「いいですよ」って言うけど僕としては「検査受けれませんよ」ぐらい言うてほしい。

そうなった方が、僕らのチームももっと引き締まるかなって。

だけど、所詮消防設備なんて、ここまでしか見られない場合が多いっていうのも、正直ありますよね。

 

青木:

このクロスの話で言うと、クロス貼ってないってことは、感知器つけて消防検査OKになっても、脱着があるってなると、まあ良くないんですよ。

「別に取ってまたつけるだけやん」と思うかもしれないけど、一回取ったっていうのがもうダメなんで。

そこを知っててやってると「ダメ」っていう人もいるかもしれない。

まあ、その辺は別れるところですね。

 

 

消防署の真横のビルが「把握されていなかった」話

山下:

この前もあったんですけど、某消防署の真横のビルを買った方がいて、1階で店舗をやってたんですよ。

で、その物件が「消防署が把握できてない」って言われて。

誘導灯がどうのこうのって、いっぱい言われて。

「いやいや、ついてないですよ今」

「つけてください」

「いやいや、あの店ずっとやってません?できてないですよ」

毎日ここ通るやん、って。

 

「何年前からあの店やってんすか?」

「いや、ちょっと前からやってたと思います…」みたいな。

「なんで入らない?そこに。指導行くべきでしょう?」

結局、次のオーナーが、その店の中にもつけさせられる。

そういうこととかも、いろいろ。問題、たくさんあると思うんですよ。

 

青木:

まず僕のイメージで申し訳ないですけど、 「届け出」っていう行為がなかったら、消防士さん側って気づけないんで。

距離が近かったから「いや、さすがに気づけよ」って話なのかもしれないですけど。

 

スタッフ:

基本、だから「把握してない物件」って結構あると思うんですよ。

 

山下:

次のオーナーさんがおそらく70〜80万のお金出してやらないといけない。

そういうのも「納得いかんな」と思うことがあったり。

 

消防側の本音:「もっと行かなあかんな」

宮谷:

今のお話を聞かせていただいて、もっと行かなあかんなと、やっぱり感じました。

やっぱり消防設備業の方々の消防検査に僕たちが行うところで、終わってしまってるので。

建築業も含めた業界のアップデートのために、消防側もそこの目線を持っとかないといけないなっていうのは、今お話聞いて改めて気づかされました。

やっぱり、消防側もそういった違反物件をなくしていくっていう職務を持って、立入検査をもっと行くべきだなっていうのは、すごい感じてるんですけど、そこに手が回ってないっていうのが、現状としてはあります。

 

 

スリッパ問題・接遇の話

山下:

30年、32年ぐらい前なんて、「スリッパないんか」ぐらいの人もおるしね。

僕ら、スリッパ用意しましたよ。 コンビニで買って、用意してたけど。

でも建築屋さんが用意せえへんかったら「なんで俺らがやらなあかんねん」と思いながらも、「機嫌良く帰ってもらいたいから」っていうので、3つぐらいスリッパを新しいの買ってきて。

「何してんねやろな」と思いながら、当時の僕もやってたもんね。

 

宮谷:

その辺りは本当、消防側が改めないといけないところが多くあるなと思います。

 

山下:

でもちゃんと試験器持ってる人もいますよね。

 

本来の消防検査は誰の仕事か

宮谷:

本当に消防検査って、本来、消防側がする仕事やと思うんです。

僕たちも昔は炙り棒とか持ってましたし。

でもなぜか、消防設備業者の方々が消防検査を率先してやってくれてる形になって、そういった結果があって、消防士側のスキルってどんどん低下してしまってるのかなと思うので。

消防検査1つとっても、本来は消防士がやらなあかんところを、消防設備士の方がプロとしてやってくれてるっていう認識を持って、「一緒に消防検査する」っていう形ができたら、業界のアップデートにつながるなと感じました。

ぜひやっていきたいです。

 

 

最後は「もっとコミュニケーションを」と、たいちゃんへのリスペクト

青木:

とにかくもっと、消防士さんと消防設備士、コミュニケーション取っていきましょうと。

青木:

そういうことで。 たいちゃんって、さっきから言ってるけど、ほんまに偉い人やから。

組合の理事とか、ほんまに権力を──

 

山下:

権力なんてないよ。 権力、どっか売ってたらね、買いに行きたい。

青木:

いや、もうお持ちです。 いつもなんか、その「会」みたいなんで、チェアマン的な感じで。

そういう方がね、山下社長が業界の上に行ってくと、また良くなる。

「動いていいと思ってる」みたいなのを、こう巻き込んでいってくれて。 そしたらやっぱ動きやすくなるんですよ。

理解がある方が上に行くとっていうのがあるんで。

今の話聞いててもね、ここでちゃんと仲直りしてるんやから、明るいよ、絶対。

 

 

エンディング:握手で締め

青木:

じゃあ最後、握手で。

 

(ガシッ)

 

青木:

かいてるね、手汗かいてるね(笑)。

 

宮谷:

今日は本当に、改めてお話させていただきありがとうございました。

 

山下:

みやちゃんでした。

 

宮谷:

たいちゃんでした。ありがとうございます。

 

青木:

以上、防災の青木でした!

 

 

本編はこちら(YouTube)

【消防署でバトル】消防士と消防設備士が衝突 タイホ防災(株) 山下 泰助さん【消防設備士100人インタビューNo.4】

https://www.youtube.com/watch?v=LxBxifj-YK0